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2014年7月ドイツ・コブレンツ [Whitacrian]

ロンドンから戻ると、再びエリックのFacebookとブログを見て次の予定をチェ ックする日々を過ごしていたのだが、例年とは異なり7月以後のアップデートが ない。いつもなら半年先ごろまでの予定が常に掲載されているのに。毎年3月ご ろに行われるDCINYの演奏会すら、2015年度はまだ予定が立っていない様子だ った。ニューヨークのパーティー会場を後にする際、スタッフのジェフェリーに 来年の予定を尋ねてみたのだが「決まったら連絡するよ。」と言葉を濁された。 もはやエリックで利益を得ることができないとでも言うのだろうか。それともな んらかの理由でライブ活動をしばらく停止するのだろうか。としたら、年内は7 月のドイツが最後なのだろうか。いろんな考えが頭をよぎってきて、急に焦りを 覚えた私は、実際にエリックに会いに行って8月の予定を尋ねることにした。8 月22日(金)ロンドンSouthwark Cathedralで、合唱団京都エコーのメンバーと して私が出演する演奏会に来てもらえないかどうか、勇気を振り絞って聞いてみようっと。

コブレンツの演奏会チケットは早くから予約していたが、再度、主催者のホーム ページを確認してみると!なに?!演奏会の前日のワークショップに参加すれ ば、Eric Whitacre Singaersの本番の一部分に出演できる?!これは、2012年 12月のミュンヘンと同じパターンではないか!やったー!と、さっそく申し込 みFAXを送信して、フライトチケットと宿の手配をした。今回は、台北経由の China Air が最安値である。いつもの北京経由でロンドンへ行くAir Chinaとど う違うのだろうか。台北経由ということは台湾の航空会社ということのようだ。 FAX送信から数日後、主催者Rhein Vokalからメールが来た。残念ながらワーク ショップ参加希望者は定員オーバーで、私の前に既に20人以上が待っているという。何ということ!飛行機チケットも購入済みで、コブレンツで2泊の宿も押さえて あるから、Engersで行われるワークショップ会場のロビーで待たせて欲しいと 返事を送ってみた。すると、担当者のAnnemarieから「ワークショップ会場に 来ても無駄よ、ヒトミ。あなたはコブレンツに宿を取っていると書いていたわよ ね。だったらコブレンツの街を観光することをお勧めするわ。とても美しい街だ から。」という返事。カチンと来た私は「私は!観光しているよりも、エリック を待つ事の方がいいの!お願いだから待たせて!」と返事を書いたが、しばらく Annemarieから返事はなかった。数日後、ようやくメールが戻ってきた。題名 が「Meet Mr. Whitacre」と変わっているではないか!『え?』と、慌てて内 容を確認すると「今回のことをEric Whitacre Singersのマネージャーと話し合 った結果、12日のワークショップの後はエリックは忙しくて時間が取れないけ れど、13日の演奏会後なら時間が取れるとのことなので、ロビーで待っていて ください。」と。やったー!エリックと直接、話せる!一気にテンションUPし た私は、どうプレゼンするかをあれこれ考える日々を過ごすこととなる。

7月11日(金) 関空19:50発CI19便に乗り込んだ。ドイツは昨年10月のハンブル グ以来で、今回が8度めとなるが、Christineを始め、Frauke,Wiebkeなどたく さんのVC Friendsが居るから再会できるのが楽しみでもある。 12日(土)朝6:50フランクフルト着。8:58分発IC2158に乗って、コブレンツに到 着したのが10:11だった。14:47発RE10816に乗ればEngersに15:03に到着で きるので、それまでに身支度がしたいのだが、ホテルチェックイン時刻13:30ま で駅のマクドナルドでWi-Fiしながら時間を潰す。

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予定通り15:03にEngersに到着すると、そこはほとんど人の気配のない寂しい 田舎の駅だった。同じ電車を降りた乗客の中に、ワークショップの参加者っぽい 人たちが帰りの電車の時刻をチェックしていたのを、羨望の気持ちで見ながら会場へ歩いた。カフェなどが立ち並ぶ通りを真っすぐ歩けばSchloss Engersの建 物に突き当たる筈だと、町並みを眺めながら歩いていると!?目線の先にあるカ フェのテラス席にエリックの姿を発見!!スタッフたちと打ち合わせをしながら 食事をしている様子。近寄って話しかけたかったけれど、私が原因で Annemarieとマネージャーが話し合ったということを知っているので、今は、 遠くから眺めていることしかできなかった。せめて写メを撮影したいと試みた が、見つかりそうで上手く撮ることができなかった。

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 とにかくワークショップ会場を下見に行こうとそこを通り抜けると、会場となる ホールの前にはバスケットのゴールのある運動場が広がっていて、ボール遊びを している子供達を親たちがベンチに座って見守っている。ははぁ~、あの親に混 じって外から観察できるじゃないかと横目で見ながら入り口へ進むと、受付に3 人のスタッフが居た。「Annemarieに会いたいのですが。」と尋ねた20代くら いの若い女性が「私よ。」と言った。予想以上に若かったので驚きつつも、手み やげの『阿闍梨餅』と『まるしげのティラミスチョコ』を渡すとAnnemarieは すごく喜んでくれて「明日、ホールで待っててね。」と言ってくれた。

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私は笑顔 で返し、Eric Whitacre Singersのマネージャーへも手みやげを手渡してもらう ようAnnemarieへ託してその場を立ち去った。またエリックに会えるかなと期 待に胸を膨らましつつ、来た道を戻ると、前からChristineと友人が歩いてくる のが見えた。「ヒトミ!さっき、そこのカフェにエリックが居たわよ!私たちが Choir GeekのTシャツを着ているからすぐに見つけてくれたわ!」とすごく興 奮している。その様子がうらやましく思いつつ「私も見かけたけど、スタッフと 打ち合わせしているっぽかったから、話しかけられなかったのよ。でも明日があ るし、楽しみにしているね。」と2人と別れて駅の方へ向かった。すると!まだ あのテラス席にエリック達は居るではないですか。可能な限り眺めていようとそ の場に留まっていると、ワークショップの開始時刻が近づいてきたため、エリッ クとマネージャーは会場へと向かって歩きだした。やはりこのままホテルには戻 れない!さっきの運動場のベンチに座って外で聴いていようと、私も会場へ戻る ことにした。会場はカーテンが閉められていたが、窓は開いていたので、音は聞 こえてくる。そっと建物に近づき、ホール裏口の隣の窓の下へ行くと、エリック とマネージャーの話し声が聞こえてきた。どうやら控え室のようだ。しかし、私 の英語力では何を話しているのかわからなかったが、エリックの声が聴けるだけ で幸せだった。16時になったので、主催者側の担当者が呼びに来たようでエリ ックがホールへ移動し、私もホールの音が聞こえる窓へ近づいて外から中の様子 を聴いていた。講習曲は「Lux Aurumque」「The Seal Lullaby」「Sleep」 の3曲。時間配分から考えると18時には終了の様子が感じとれたので、参加者 たちと顔を合わせないように10分くらい前に駅へと向かった。

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翌13日(日)演奏会の朝。窓の外を見ると、今にも降り出しそうな空。やっぱり かと写メを撮るために外へ出ると本格的に降ってきた。間違いなくエリックは雨 男に決定だ。何度、決定していることか(笑)。

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演奏会は15:00からRhein-Mosel- Halleというライン川沿いにあるホールで、辺りはとても美しい。Annemarieが 観光を勧めてくれたことをふと思い出し、苦笑した。私がホールに到着すると、 リハーサルを終えた出演者たちが思い思いに過ごしていた。

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ホールロビーへ入る とAnnemarieがプログラムを売っていたので、挨拶がてらに「ハイ。こんにち は。プログラムを1冊ください。」と言うと「2ユーロだけど、ドイツ語のしか ないわよ?」とAnnemarie。 「問題ないわ。」と2ユーロを彼女へ差し出すと「じゃ、演奏会が終わったらこ こで待っててね。」とプログラムを手渡してくれた。

演奏曲目は、次の通り。

Eric Whitacre 「Sleep」「 Lux Aurumque」「The Seal Lullaby」「Sainte- Chapelle」「A Boy and A Girl」

Johann Sebastian Bach「Come, Sweer Death」

Moses Hogan「Joshua fit the Battle of Jerico」「I want Jesus」「Elijah Rock」

John Tavener「The Lamb」

Martin Gore「Enjoy the Silence」

Trent Reznor「Hurt」

Eric Whitacre「Oculi Omnium」「With a Lily in Your Hand」「Very Soon」

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タリススコラーズがCDリリースした「Sainte-Chapelle」の演奏があるではないか。しかもその曲紹介でエリックはタリススコラーズについて楽しく言及していた。先月にはBBCシンガーズとキングズシンガーズを指揮している。この2点に焦点を絞れば私たち合唱団京都エコーのサザーク大聖堂演奏会に興味を持ってくれるかもしれない。私は一世一代の情宣をすることにした。 

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演奏会終了後、緊張 MAXでサイン会の列に並んでいたら、余っているイベントポスターをくるくる と丸めて配っているAnnemarieが「欲しいでしょ。」と手渡してくれた。 「ヒトミ。今日は出演してもらうことができなくて、ごめんね。」とエリックの 方から口を開いた。 「いえ、いいんです。ここに居れるだけで嬉しいです。だってドイツのことが大 好きだから。ドイツ人たちはみな音楽に優れているし、英語も堪能に話せるし、今晩のFIFA World Cupだって。」と言った瞬間、エリックは笑った。実際にそ の夜の決勝戦では、ドイツがアルゼンチンを破って優勝したのである。 緊張のため汗で自分の顔がテカテカになっているのを感じながら、先月のBBC シンガーズ、キングズシンガーズのことに話題を変え、サザーク大聖堂の演奏会 のことをとにかく必死で訴えていると...私の手のチラシに目をやったエリックが 「ヒトミ、ロンドンに来るの?でもその日は、ぼく、イスラエルに居るよ。」 「えーーー?!イスラエルーー?!マジですか?!」 うん、とうなずくエリック。イスラエルとは所謂『嫁の実家』...ぐうの音も出な いとはこのことだ。 「じゃ、もうひとつ!」と、素早く頭を切り替えた私はユニクロのAPPで作っ たオリジナルTシャツを出した。 「カジュアルウェアーショップのユニクロのことを知ってますか?」 「知ってるよ。ロンドンにもあるよ。」 「え?ほんとですか?そのユニクロに面白いAPPがあるんですよ。」と UTme!の説明をして、直接、デザイン画面にサインをしてもらうよう頼んでタヴ レットを差し出した。 「へぇ面白そうじゃないか。これ、ヒトミが作ったの?」と、興味を持ってくれ たエリックは、画面を触りながら 「ん?どうやったら消せるんだい?これかな?」と消しゴムで消し始めたので、 「やり直しはこれですよ。」と、リセットボタンを示す。 「これでいいかい?」と、エリックのデザインが出来上がったようだ。 「はい。じゃ、次にこれをシャッフルするんです。」とタブレットを振ってみせ ると、エリックのデザインにスプラッシュ効果が加えられた。 「次は、Saveをクリックするんじゃない?」とエリック。 まるで恋人同士のようなこのやり取りに、思わず顔がほころぶ。

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「このAPPを息子さんにおススメします。」と、APPの名前をメモに書いて、エ リックへ手渡すと 「ありがとう、ヒトミ。気をつけて帰ってね。」とエリックは楽屋へ消えて行った。 


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